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のんちゃんのこと



昨年9月の後半、愛猫のりたまが天寿を全うしました。

ある日何処からかふらりと現れ、そのまま居着いてしまった猫なのだけれど、
顔を出すようになった時にはすでに成猫だったので、正確な年齢は不明。
年期のはいった首輪をつけていたので、迷い猫だと思い飼い主を探したのだけれど、
結局見つからずそのまま引き取る事に。

様々な呼び方で呼ばれていて、のり、のりちゃん、のんたま等、
逆に本名がのりたまだという事は忘れられていたのでは?と思う。
私は主に、のんちゃん、のんたんと呼んでいたのだけれど、
熟睡している時を除けば、呼ぶと100%返事を返してくれる律儀な猫だった。
そのくせ、外に一歩でも出ている時には決して触れさせてくれず、
近づくとするりと逃げる、引くと寄って来てごろりとお腹をみせてくねるという、
気まぐれさも。
人間には誰にでもかわいい声で甘えてくる寂しがりやな反面、
生涯通して他の家猫は誰も寄せ付けず(一部外猫には興味津々)単独暮らし。
顔が面白柄だけれど、れっきとした女の子。
明るい性格で、楽しませてくれるエピソードには事かかない面白キャラでもあり
客人にも大サービスで接する人懐こさで愛されていた。
(特に父のことが大好きで、父が出入りするとお供します!とばかりにくっついて歩いていたくらい)

亡くなるちょうど一年程前から、加齢による腎機能の衰えで口内炎になり、
それまでドライしか好まなかった食事が摂れなくなり、
注射、病院で出していただいた薬やサプリ等を経て、その後は高齢猫用の
総合栄養食のパウチに、薦められたドライの療法食をミルで粒が残らないように
細かくひいた粉を加えた食事に替える。
それだけだと食欲が湧かないのか、あまり食べてくれないので
スープ系パウチ(こちらも高齢猫用)で誘導。
スープやゼリーを掬ったスプーンを鼻先に持っていくと、
美味しそうな匂いに反応してくれるので、騙し騙しベースの食事に混ぜて
時間をかけてなんとか最期まで食べてもらおうという作戦だ。
食べたい気持ちはあるのに、思うように食事が摂れない様子は
見ていてとてもつらく、なるべく美味しくゴハンを食べてもらいたかったので、
手を替え品を替えかなりの種類のパウチを試した気がする。

それプラス一番の強い味方だったのが、口コミで評判だった
”きえ~る”(ペット用)。
飲み水、ごはんにも少し入れるのだけれど、ミニボトルに入れ替えたものを
直接口内にシュッと。
祈るような気持ちで試したのだけれど、はじめて数日で口内炎の痛みが
激減したのかごはんも食べられるように。
おかわりなんか要求された時には、小躍りする程の嬉しさだった。
効果には個体差があるかもしれないけれど、のんちゃんには合っていたようだ。
それでも、若い頃はむっちりコロコロとしていた身体も、
思うように食事がとれなくなってからは、随分と小さくなってしまい切なかった。

そんなお世話が一年程つづいた九月の半ば、嘔吐と下痢の跡を発見。
すると、いつもは絶対に近づかない同居猫のテリトリーにフラフラと入って来て、
あ!と思った瞬間、それが徘徊行為だと悟る。

どの老猫の看取りの時も、そうだったと記憶しているのだけれど、
病気ではないのでこれはお見送りする時期がきたのだということ、
と先生に言われたことを何度も思い出して、
回復することはないのだという現実を、少しずつ受け入れながら、
なるべく負担はかけたくない、けれどもやはり一日でも先延ばしにしたい気持ちで
ぐるぐるしながらその日が来るまでお世話をした。

昏睡に入る前は、多少はまだパウチを食べる元気があったのだけれど、
それだけでは栄養が賄えないので、薦められたロイヤルカナンの
クリティカルリキッドをシリンジで少しずつ与える。
あまり好まない様子がなんだか可哀想で、与えた後はラッコの母さんの体勢で
抱っこをしてあげると安心してすぐに眠った。
そのうち寝たきりになると、定期的に前脚をバタつかせるような発作が起こるので
昼夜問わず誰か側にいられるように見守る。
発作が始まる度にリキッドを薄めたものとお水を与えると、
ゴクゴクと飲んでくれるので、まだ生きたいという意志が感じられて
胸がいっぱいになる。
同時に、飲まなくなったらいよいよだという覚悟があったのだけれど、
水を受け付けなくなったなと思うと、その後数時間後にまた勢いよく飲んだりして
逝く逝く詐欺か?やってくれるなのんちゃん....と泣き笑い。
そういへば先生も、猫は最期までいいとこみせようとするから、と言ってたな。
結局、なんだかんだと昏睡状態に入ってから6日後に穏やかに天に召された。
秋分の日の翌日の早朝だった。

徘徊が始まった日に、かかりつけの病院で診察してもらった際、
先生に、まずは敬老の日を目標に頑張りましょうと言われたのだけれど、
その時は、そんな近々の話?いやいやそうはいっても年内位は....などと
帰宅してからも話していた。
またごはんを食べてくれるようになったら、持ち直すと信じていたからだ。
実際には、先生が言われたように、そこから一週間程で寝たきりになったので、
やはり数えきれない犬猫を診て来た先生には、
その子の残りの時間がちゃんとわかるのだな。感服です。

敬老の日はちゃんと超えてがんばったね。
最期の期間は、哀しく寂しくもあったのだけれど、
ただただ愛に溢れた幸せな時間でもありました。
きちんと気持ちの準備をさせてくれて、本当に感謝。
愛すべき家族、素晴らしい猫生でした。(と思ってくれてたらいいな)
ありがとう、のんちゃん。

我が家の猫として約13年。
おそらく17か18歳位にはなっていたのではと思っているのだけれど、
送りだして数ヶ月、ふといつものんちゃんが座っていた窓辺に立ち、
不在の空気感に包まれると、慣れるまでまだ少し時間が必要だなと思ったり。

日々の慌ただしさで多少気が紛れていたのだけれど、なかなか振り返るのにはしんどくて
そうはいっても年末には一度記しておこうと思ったものの、
結局余裕がなくて先延ばしになってしまいました。
のんちゃんのいない今年のお正月は、やはり少し味気ないものだった気がします。


まるまるとしていた頃の写真を添えて


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ラストは、お得意のクネクネを

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(追記)


送り出す時のんちゃんが寂しくないようにと、Yがつくってくれた人形。
雨風で時間の経過とともに自然に還る土もの。
のんちゃんが以前ちょっと気になっていた通いの黒ちゃんと共に。
とても可愛いのです。


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